イチョウの葉のお茶やサプリメントが売られていますがさまざまな効果があることと推測されます。イチョウ葉に含まれる成分に長寿になるものがあるのか興味がわきましたので医学論文で調べてみました。
イチョウ葉エキスの摂取で線虫の寿命が延びる
イチョウのエキスを線虫に食べさせたところ寿命が延びたと報告されている実験結果がいくつかあります[1][3]。イチョウの葉にはフラボノイドなどさまざまな薬理活性がある成分が含まれています。例えばフラボノイドのタマリキセチンが寿命を延ばす効果が高く約25%も寿命を延ばしたとしています[1]。フラボノイドのほかにもイチョウの葉にはビロバリド、ギンコライドなどが含まれているため抗酸化作用があることが報告されています[2]。
活性酸素が増大すると寿命が短くなることは現時点で老化の最有力な仮説として久しいですがイチョウ葉エキスはミトコンドリアから発生する活性酸素に対する抵抗性を高め活性酸素レベルを低下させることが報告されています[1][2][3]。以前、活性酸素の増大は寿命にどのような影響があるのか記事にしていますので興味がある方はこの記事も読んでみてください。
ミトコンドリアの酸化的リン酸化によるエネルギー産生
ミトコンドリア機能が低下するとエネルギー産生の効率が低下し活性酸素が増大することが知られています[3]。下の図はミトコンドリアがATPというエネルギーを作るときの模式図ですが、Ⅰ~ⅣあるいはATP合成酵素を含めるとⅤまで番号がついた複合体があることが知られています。

ミトコンドリア複合体Ⅰ~Ⅳ+Ⅴ File:Mitochondrial electron transport chain—Etc4.svg Author:Fvasconcellos
イチョウ葉エキスはミトコンドリア複合体ⅢとⅣの機能を改善する
人間の呼吸から取り込まれる酸素の約2%がミトコンドリアから活性酸素として発生することが知られています。老化してくるとミトコンドリア機能が低下して活性酸素が増大しながらエネルギー産生効率が低下していきます。イチョウ葉エキスはこのミトコンドリアが酸素からATPエネルギーを作る複合体ⅢとⅣの効率を改善し使用する酸素量を減らすため活性酸素発生を抑えたと報告されています[3]。
まとめると、イチョウ葉エキスにはフラボノイドをはじめとしたミトコンドリアの機能を改善して活性酸素レベルを下げる成分が含まれている。線虫の実験ではイチョウ葉エキスを摂取すると寿命が延びることが報告されているということです。
参考文献: