日本人の食事はいつしか米やパンやうどんなどの糖質が主食と言われて久しいですが、本当に食事のバランスとして糖質が主食で長寿になるのか科学論文で検証してみます。
ヒトはエネルギーをどこから得るのか?
まず人間がエネルギーを得るためには①糖質か②ミトコンドリアからエネルギーを得るしかありません。米を主食にするということは主に①の糖質を代謝してエネルギーを得ていることになります。この糖質によるエネルギーは酸素が必要でないため水泳や短距離走などで使われるエネルギー源です。骨髄や皮膚でも糖質のエネルギーが使われています。
一方、ミトコンドリアが生み出すエネルギーは大量のエネルギー(ATP)を作るためマラソンなど有酸素の持久運動で主に使われます。ミトコンドリアはこのエネルギーを生み出すときに必ず活性酸素を出します(約2%)。そのため加齢とともにミトコンドリア自体の機能が低下したり数も減っていきます。
糖質制限で長寿になる仕組み
従来、活性酸素(ROS)は老化の原因であって抗酸化成分を食べることが長寿になると考えられていました。しかし近年ではある程度のストレス(この場合酸化ストレス)が逆に耐性を付けさせて長寿や免疫が高まることが分かりこの現象をホルミーシスと呼んでいます。特に活性酸素で一番ダメージを受けやすいのが発生源であるミトコンドリアですので適度なストレスを与えてミトコンドリアに活性酸素耐性を付けさせることをミトホルミーシスと呼んでいます。
糖質を制限する食事ではミトコンドリアの呼吸を誘導し活性酸素を発生させミトホルミーシスにより線虫の寿命を延ばします[1][2]。逆に糖質を食べると寿命を短くして早死にします[1]。
日本の食事バランスは長寿の科学的根拠が不明
このように科学論文で事実を検証すると日本人の食事バランスはおかしいことに気が付くはずです。ちなみに私はアンチエイジングと長寿を目指して糖質制限をしておりそのエネルギーバランスは糖質10%程度になっていると思われます。よく何を食べているの?と聞かれますがメインは野菜であとは肉や魚を食べます。朝はココナッツオイルの中鎖脂肪酸(MCTオイル)をコーヒーにかき混ぜてケトン体を生み出しミトコンドリアのエネルギー源にしています。上記の根拠からミトコンドリアに呼吸させればさせるほど長寿になるため私の食事バランス(糖質制限)をこのまま続ける予定です。
他の記事でも述べますが糖質はインスリン受容体を活性化しますのでオートファジーが起きにくいはずです。通常、オートファジーが起こると長寿になりますのでこの点からも根拠が不明です。メトフォルミンは糖尿病の薬剤でmTORタンパクを抑制するためオートファジーが起こり長寿になる可能性が指摘されている薬剤です。興味がある人はこちらの記事もどうぞ。
ケトジェニックダイエットはカロリー制限を模倣して長寿になる
糖質制限をすると必然的にエネルギー源としてケトン体が増えますがMCTオイルのようにケトン体を血中に増やす食べ物もあります。私がケトン体中心の体になっていても非常に体の調子が良いと感じているのは長寿にも関係があるのかもしれません。ケトン体が増えるとカロリー制限に似たような長寿作用が働くという報告もあります[3]。カロリー制限は多くの種の動物で長寿作用が確認されているのですがなかなか腹八分目というのは難しいので糖質制限でダイエットの意志力など必要としない方法で長寿になれれば嬉しいですね。
まとめると、日本の食事バランスは糖質が主食になっているが長寿にはならない可能性が高いと考えられる。科学的なエビデンスからは糖質を少なくする食事バランスがミトホルミーシスにより長寿になることが示唆されているということです。しかもケトン体が増えることはカロリー制限を模倣し長寿になることも示唆されています。
参考文献: