鉄は生命活動をするのに必要な微量元素で皮膚や髪の毛でも必要なことがよく知られていますが、鉄や銅などの遷移元素は活性酸素源ともなるため寿命の観点から興味がわいたので医学論文で調べてみました。
鉄(Fe)は活性酸素を発生する金属
鉄分の不足は貧血になりますので鉄不足の害の方はよく知られていますが過剰摂取の害はそれほど知られていません。鉄は活性酸素を発生させ老化の指標分子の一つ『不溶性タンパク』を増やして蓄積させます[3]。また、過剰な鉄の摂取は活性酸素(フリーラジカル)を生成し発がん性があるため癌にかかるリスクが高くなります[1]。最近の疫学研究では瀉血による鉄の減少が癌リスクを差月こともわかってきました[1]。あと、癌のかかりやすさは乳がんなどを除きほとんどの癌で男性のほうが女性よりかかりやすいことも知られています[2]。私が考えるに女性は月経で鉄が減少するため癌リスクが低下しているのではないかとも思います。
鉄が減少するとミトファジーが起こり線虫の寿命をのばした
一般にオートファジーが誘導されると長寿になることが分かっていていかに無理なく生活の中でオートファジーやミトコンドリアのミトファジーを起こさせるかが長寿になるライフスタイルの秘訣です。鉄の不足はこのミトファジーを引き起こし線虫の寿命をのばすという研究結果もあります[4]。その機序として低酸素状態に似たミトコンドリアの鉄欠乏が起こるためにミトファジーが引き起こされると結論づけております。以前低酸素と低体温の長寿効果について記事を書きましたが、低酸素状態で発現するHIF-1というタンパク質は長寿に関わっていることが強く示唆されます。
まとめると、鉄は生命活動に必要だが活性酸素を発生させ過剰になると癌リスクが高まる。鉄分が減少することで貧血のリスクが高まる一方、ミトファジーを誘導し長寿になる可能性が示唆されているということです。
参考文献: