老化や長寿の手がかりは加齢とともに減ってくるものに注目することが有効なことも多いです。例えば今回の『ヒストン』というDNAを整頓するためのタンパク質は加齢とともに減っていきますので染色体構造にも変化が現れることが考えられます。そこで、染色体の構造を若いときと同様に保っていると長寿になるのではないか?と考えるわけです。
染色体の構造(ヒストンとクロマチン)
まず染色体の構造をみていきましょう。DNAの2重らせん構造はヒストンという糸巻きに巻き取られていきます。DNAをヒストン(histone)に巻き取り、クロマチンと呼ばれるマクロ構造に変わっていき次第に染色体になっていく様子を3D動画にしてあるものがあったので載せておきます。
次にヒストンとクロマチンがどう老化で変わるかを見てみましょう。下の図は上が若いクロマチン構造で下が老化したときのクロマチン構造です。ヒストン(丸いボールのようなもの)が若い時と比べて減っているためヒストンとヒストンの間が開いていることが分かります。
ヒストンを増やすと長寿になる
このように老化してくるとヒストンが減り染色体のクロマチン構造にも変化が現れます。そこでイースト菌にクロマチンが大量に発生させる実験を行ったところ寿命が延び、逆にヒストンの発現を減らしたら寿命が短くなった[1]と報告されています。
つまり、加齢とともにヒストンが減り染色体の構造に変化があると寿命が短くなり、ヒストンタンパクを増やすと寿命が延びる。染色体の構造の維持は寿命を延ばすということになります。
参考文献: