歯周病は生活習慣病で喫煙をはじめ、プラークの放置や糖質過多の食事で増えます。プラークとはいわゆる『歯垢』のことで虫歯菌や歯周病菌の巣です。これらの細菌は糖質をエサとしておりプラークも成熟の最終段階で糖質の鎧をまとって硬くなって歯石でなくとも通常のブラッシングでも落ちにくくなります。糖尿病などの生活習慣病は死亡率をあげるため歯周病も長生きしにくいのではないか?という疑問がわきましたので医学論文で検証してみました。
歯茎のポケットの深さと死亡率の関係
歯を支えている周囲の骨のことを歯槽骨と言いますが歯槽骨が減ってくると歯茎と歯の間に深いポケットが形成されます。このポケットの深さと死亡率が高いことと関連があった[1]と報告もあります。生身の人間の寿命の実験はマウスやハエなどの実験と異なり難しいため長期の経時的データを探ることは貴重です。
なぜ歯槽骨が減ってくると死亡率が上がるのでしょうか?老化とともに歯槽骨は減ってきますが歯槽骨が減ってポケットが深くなる一番の原因は歯周病です。近年歯周病と糖尿病は互いに悪影響を及ぼす関係があることが明らかになっています[2]。つまり血糖値をコントロールしたかったら歯周病をコントロールする必要があるし、歯周病をコントロールしたかったら糖尿病をコントロールする必要があるということです。
歯周病単独でも死亡率が高まる
この糖尿病が死亡率を上げる原因でもあると考えられますが、糖尿病だけでなく歯周病単独でも死亡率を上げる要因となることを報告しているグループもあります[3]。私が考えるに歯周病は腸からの細菌感染と異なり門脈のような防御機構がなく口腔内から直接血管内に侵入し全身を巡って内毒素(LPS)による炎症と活性酸素で血管などの臓器を老化していくためではないかと思います。実際、口腔内の細菌は糖尿病以外にも動脈硬化や心内膜炎の病巣からも見つかっているため全身に毒をばらまいていますので。
まとめると、歯を支える歯槽骨が高さを失ってくることと死亡率の高さとは相関がある。歯槽骨を失う原因となっている歯周病単独でも死亡率を高める可能性があるということです。ちなみに歯並びが悪いとプラークがたまりやすく歯肉炎や歯周病にもなりやすいため矯正治療をすることも長寿に有効かもしれません。
参考文献: