昔から運動、特にジョギングなどの有酸素運動は健康にいいと言われてきましたが、長寿になるのでしょうか?確かに有酸素運動はケトン体を増やしたりミトコンドリアの数と質を改善しますので長寿になる可能性が示唆されますがどの程度運動すると長生きできるのか疑問でしたので科学論文で検証してみました。
ジョギングと死亡率の変化
まず次の図では一般にジョギングをすると1時間程度で大きく死亡率が改善していることが分かります。そのあとは徐々に改善傾向にありますがプラトーでほぼ変わらないようにも見えます。つまりもっとも死亡率を改善するのに効率的な運動時間は1時間程度と考えられるわけです。

ジョギング時間と死亡率との関係。Wasfy MM et al. [1]
運動の激しさと死亡率
同じジョギングでも話しながらできるウォーキングからマラソンレベルの激しいジョギングまで強度が様々あるのですがどのくらいの強度の運動が長寿になるのか調べてみます。ある報告では運動しない人の死亡率と比較したところ、軽度、あるいは中程度のジョギングは死亡率を改善するが、激しいジョギングは運動しない人と死亡率が変わらないとして結論付けています[2]。さらに運動時間に関しては週に1~2.4時間が最も低い死亡率だったことから先ほどのグラフと一致しています。高齢者における報告でも15分のウォーキングを週に4回、つまり週に1時間程度の有酸素運動を行うと長寿になることが報告されています[3]。
つまり有酸素運動(耐久運動)は長期の死亡率を下げる傾向があるが激しい運動は運動しない人と変わらない。週に1時間程度のジョギングが最も時間対効果が高いということです。30分のウォーキングレベルの運動を週に2~3回するのが最も長生きできると考えられます。
参考文献: