寿命には男女差があり女性の方が男性より長生きし、女性は約86歳、男性は約79歳が平均寿命になっています[1]。これには多くの原因が考えられます。今回の仮説は男性は男性ホルモンが女性ホルモンより優位であるため性ホルモンバランスを変化させると寿命を延ばすことができるのではないかと考え興味がわきましたので医学論文で調べてみました。
植物性エストロゲンは男性の寿命をのばす可能性がある
マウスを使った実験では女性ホルモンの一つである『エストラジオール』を投与するとオスにだけ平均寿命と最大寿命を延ばす効果が認められたとの報告があります[2]。エストラジオールではなくとも私たち日本人が毎日のように摂取しているエストロゲン様の食べ物といえば納豆や豆腐、味噌汁、豆乳など大豆食品です。ですのでアジアの人たちはあえてエストラジオールを摂取しなくても食事だけでもかなり女性ホルモン様作用のある成分を摂取している文化だと言えます。
植物性エストロゲンはイソフラボンのプルネチンが有名です。このイソフラボンの投与でオスのハエの寿命を延ばしたと報告があります[3]。また、植物性エストロゲンはAMPKというエネルギーが足りなくなると発現する酵素を活性化します[4]。このAMPKはmTOR(エムトール)というタンパク質を抑制してオートファジーを促進するため長寿になることが知られています。
またイソフラボンは腸上皮のバリア機能を改善します[5]。さらにハエの実験において年齢とともに腸上皮バリアの完全性が低下し、腸上皮バリア機能の低下は寿命を縮めることが分かっています[5]。
つまり、男性の寿命を延ばすにはエストラジオールや植物性エストロゲンのイソフラボンの摂取が有効であることが示唆されている。ただ日本人は十分に大豆を食べる習慣がすでにあることにも注意したいということです。
参考文献: