体温は高いと代謝が盛んになるので健康に良さそうですが低温の方が長寿になるという報告もあり[1]、長寿になるのは体温は高いほうなのか低めの体温なのか興味がわきましたので医学論文で考察してみました。
多くの動物種で長寿になる方法にカロリー制限がありますが下の図はハエにおけるカロリー制限における寿命との関係と温度との関係のグラフです[2]。

カロリー制限と温度の長寿との関係 Keil G et al. [2]
これを見るとカロリー制限のグラフと体温のグラフでは長寿作用が異なるように見えます。しかも高温より低温の方が長生きしていることがわかります。
あと長生きする動物にハダカデバネズミ(naked mole rat)がいますがハダカデバネズミの体温は低めであることがわかっています[2]。以前ハダカデバネズミの長寿について考察した記事がありますが、そのなかで地中で暮らすため低酸素状態と長寿が関係あるかもしれないと考察しました。
低酸素状態になるとHIF-1という因子が発現しそのバランスによっては長寿になるのですが、HIF-1を欠く動物は25℃で長生きするが15℃では生存しないという報告があります[3]。ということはハダカデバネズミはHIF-1をどちらかと言うと増やす方向で進化し低体温に調節して長寿になっているのではないかと推察されます。
まとめると体温は低めの方が長寿になる可能性があり、一般的なネズミの10倍もの寿命を持つハダカデバネズミから低酸素状態と低体温の組み合わせも長寿になる可能性があるということです。
参考文献: