インドの伝統医学アーユルヴェーダで使われるグースベリー(gooseberry)別名アムラの果実にはさまざまな薬効があるとされ医学論文でも報告がかなりの数があります。そのアムラには長寿になる効果があるのか興味がわきましたので医学論文で調べてみました。
アムラの果実は寿命をのばし、血糖値を下げる
アムラの摂取で線虫とハエの寿命がのびたという実験報告があります[1][2]。
その長寿効果の経路として私が考えるのはアムラには健常な人の血糖値を下げる効果があり[3]ますので血中インスリンレベルを減らすことで長寿になっている可能性があります。
糖質を食べることで血糖値が上昇してインスリンが分泌されインスリン受容体と結合して血糖値を減らしますが、このインスリン受容体からのシグナル経路はmTOR(エムトール)タンパクを活性化してオートファジーが起きにくくさせています。通常オートファジーが起こる体質になると長寿になりますので血糖値が高い人はインスリンが出っぱなしでオートファジーが起こりにくい体質だということができます。
さらに血糖が増えれば血液中のアルブミンなどのタンパク質は糖化していきAGEsという最終糖化産物に変わっていってそれが寿命を短くする経路も考えられます。血糖値が下がれば当然AGEsの産生も抑制されますのでアムラの摂取で血糖値を下げてAGEsを減らすことも長寿の原因とも推測されるわけです。
アムラの果実は抗酸化・抗炎症作用がある
また、アムラにはポリフェノール効果による抗炎症・抗酸化作用がありますので老化とともに増えてくる活性酸素の害を軽減しているとも考えられます。活性酸素はミトコンドリア内で適度に増やすとミトホルミーシスが発動して長寿になりますが細胞質内に活性酸素が増えると寿命が縮むことが知られています。この仕組みを考慮したグルコサミンの長寿作用に関する記事も以前書いていますので興味がある方はこの記事も参考にどうぞ。
まとめると、アムラの果実には血糖値を健常人でも下げる効果があり線虫やハエの寿命を延ばす効果があるということです。その長寿になる仕組みとして考えられるのはmTOR抑制、AGEs抑制、抗酸化抗炎症といったところです。
参考文献: