終末糖化産物の生成を抑制すると長寿になるか?

ホットケーキ

以前糖質摂取量が増えると寿命が短くなるという記事を書きました。

糖質制限は寿命を延ばすか?

糖質制限は寿命を延ばすか?
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そこで私が考えたのは糖質を食べ血糖値が高くなると終末糖化産物(AGEs)も血中のタンパクや体内コラーゲン繊維に蓄積されるためAGEs自体も寿命に関係しているのではないか?と疑問に思いましたので科学論文を調べ考察してみました。

最終糖化産物(AGEs)を食べると寿命が短くなる

AGEsは糖があるとタンパク質と非酵素的に反応、つまりコントロールされずに反応し、褐色を帯び架橋結合を起こして硬い物質に変性させられた物質です。AGEsはリポフスチン(加齢性色素とも呼ばれ高度に酸化したタンパク質、脂質、糖質の複合体)とともに体内に増えていきます。

AGEsはホットケーキの茶色い甘い部位に代表されるように体外から食べ物としても摂取されます。そこで食べ物にAGEsが多い食生活を送ると寿命がどうなるかをハエを使って調べた報告があります[1]。長期にAGEsを与えられて育ったハエは運動能力が低下しAGEsが体内に蓄積し寿命が短くなったと結論づけています。

アクリルアミドはAGEsの一つでフライドポテトやホットケーキなど糖質を高温で揚げたり焼いたりするときにできるものですがアクリルアミドは微量でも線虫の寿命を縮めたと報告しているものもあります[5]。

AGEsを減らすと寿命が延びる

では加齢とともに増えてくるAGEsをへらす薬物を投与した寿命の変化に関する報告を調べてみたいと考えました。AGEsを減らす薬物にはいくつかあってアミノグアニジン、糖尿病薬のメトフォルミン、ヒドララジン、セリに多く含まれているフェルルシナイク酸、リファンピシンなどがあります[2][3][4]。これらのAGEs抑制物質を与えられた線虫やイースト菌は寿命が延びます。

まとめると、糖質制限だけでなく最終糖化産物(AGEs)を減らすことでも寿命が延び、逆にAGEsを多く含む食べ物を食べることで寿命が短くなる可能性があることが示唆されているということになります。

参考文献:

  1. Diet-derived advanced glycation end products or lipofuscin disrupts proteostasis and reduces life span in Drosophila melanogaster. Tsakiri EN et al., Free Radic Biol Med. 2013 Dec;65:1155-63. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2013.08.186. Epub 2013 Aug 30.

  2. Glycation inhibitors extend yeast chronological lifespan by reducing advanced glycation end products and by back regulation of proteins involved in mitochondrial respiration. Kazi RS et al., J Proteomics. 2017 Mar 6;156:104-112. doi: 10.1016/j.jprot.2017.01.015. Epub 2017 Jan 27.

  3. Ferulsinaic acid attenuation of advanced glycation end products extends the lifespan of Caenorhabditis elegans. Sayed AA. J Pharm Pharmacol. 2011 Mar;63(3):423-8. doi: 10.1111/j.2042-7158.2010.01222.x. Epub 2011 Feb 8.

  4. Rifampicin reduces advanced glycation end products and activates DAF-16 to increase lifespan in Caenorhabditis elegans. Golegaonkar S et al., Aging Cell. 2015 Jun;14(3):463-73. doi: 10.1111/acel.12327. Epub 2015 Feb 26.

  5. Extremely low dose of acrylamide decreases lifespan in Caenorhabditis elegans. Hasegawa K et al., Toxicol Lett. 2004 Sep 10;152(2):183-9.

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