線虫やマウスは寿命を実験する動物として一般に使用されておりこの科学的エビデンスから薬剤の開発や食事の工夫、人間での効果へと応用されます。現在、世界には多くの昔から人間が使ってきた草や木などのエキスが長寿になるとされる民間伝承があります。それに目をつけて実験して確かめる方法も面白いのではないかと思いますのでこの記事では一つ『ソロモンズシール(P. multiflorum)』が中国で長寿になるとされているので本当に長寿になるのか科学論文で検証してみます。
ソロモンズシールの長寿効果はなぜ起こる?
中国のハーブ『ソロモンズシール』にはテトラヒドロキシスチルベングルコシド(TSG)という長い名前の成分が主成分です[1]。このTSGを老化促進させたマウスに投与したところ記憶能力や寿命を最大17%伸ばしたと報告されています[1]。その報告のなかでは長寿作用のしくみとしてKlothoタンパクの発現を高め、インスリン、インスリン受容体、IGF-1、IGF-1受容体が減少したからだとしています。
インスリンは糖質を食べると血中濃度があがりますし、IGF-1とともにmTOR(エムトール)というタンパク質を活性化します。このmTORは抑制されるとオートファジーが働いて長寿になるのでインスリンやIGF-1が低下することで長寿になったと考えます。
Klothoタンパクも脳、筋肉、骨などの代謝を調整して長寿にするため長寿遺伝子の一つとして知られています[3]。
ソロモンズシールの動画。
長寿効果がある食べ物といえば有名なのが『レスベラトロール(resveratrol)』ですが、線虫においてTSGはレスベラトロールの長寿効果に匹敵する長寿作用があったと報告しているものもあります[2]。
まとめると、中国のハーブ『ソロモンズシール』はTSGという成分が含まれておりKlothoを増やし、インスリンやIGF-1を抑制して記憶力や寿命を延ばすということです。
参考文献: