セラミドなどスフィンゴ脂質を食べて長寿になるか?

ceramide anti aging

セラミドやグルコシルセラミドは皮膚に良いことで知られています。スキンケアで今問題になっているのが細胞間脂質の主な構成成分セラミドが合成界面活性剤のクレンジング液やシャンプーで溶け出して乾燥することです。そしてセラミドやグルコシドセラミドを摂取するとこの細胞間脂質が改善され皮膚バリア機能の改善も認められるのです。ではセラミドやグルコシドセラミドを食べると寿命は長くなるのでしょうか?興味がわきましたので医学論文で調べてみました。

セラミドを食べると寿命が短くなる

セラミドやグルコシドセラミドはスフィンゴ脂質に分類され細胞膜を構成する脂質です。このスフィンゴ脂質は肥満や糖尿病のリスクを増加する食べ物[1]で線虫の実験ではスフィンゴ脂質が豊富な卵黄を多く与えられた群では寿命が短くなったとしています[2]。このスフィンゴ脂質合成を阻害する薬剤を与えると寿命をのばすためセラミドやグルコシルセラミドを合成するようなスフィンゴ脂質の代謝をさせないことで長寿になることが示唆されているのです。

実際、スフィンゴ脂質のスフィンゴミエリンやセラミドが増えすぎると細胞機能が低下し細胞のプログラム死であるアポトーシスを誘導することが分かっています[3]。

mTOR抑制はセラミド合成を促進する

このようにセラミドは皮膚のバリア機能を高めるため皮膚や髪の毛には有益な栄養なのですが寿命にはマイナスになるというジレンマがあります。これを解消するのは糖質制限かと思います。糖質制限やタンパク質を一日抜いたりするとmTOR(エムトール)というタンパク質が抑制されてオートファジーが起こり長寿になる経路が働くのですが、mTORを抑制することはセラミドの合成を促進することが報告されている[4]ため皮膚バリア機能も改善して皮膚が綺麗になります。糖質制限が長寿になる仕組みを詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

糖質制限は寿命を延ばすか?

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しかもセラミドやグルコシルセラミドなどのスフィンゴ脂質を摂取するのと異なり糖質制限でmTORを抑制するとオートファジーによりセラミドによる細胞死のデメリットを打ち消してくれるため[5]皮膚にセラミドを増やしながら長寿にもなるのが糖質制限という食事法だと考えています。

まとめると、セラミドやグルコシルセラミドなどのスフィンゴ脂質を食べると皮膚のバリア機能を回復するが寿命は短くなる可能性がある。糖質制限はオートファジーを刺激するためセラミドの細胞死のリスクを打ち消して肌が綺麗になりつつ寿命も延びることが示唆されたということです。

参考文献:

  1. Ceramides and glucosylceramides are independent antagonists of insulin signaling. Chavez JA et al., J Biol Chem. 2014 Jan 10;289(2):723-34. doi: 10.1074/jbc.M113.522847. Epub 2013 Nov 8.

  2. Sphingolipid metabolism regulates development and lifespan in Caenorhabditis elegans. Cutler RG et al., Mech Ageing Dev. 2014 Dec 15;143-144:9-18. doi: 10.1016/j.mad.2014.11.002. Epub 2014 Nov 28.

  3. Sphingomyelin and ceramide as regulators of development and lifespan. Cutler RG et al., Mech Ageing Dev. 2001 Jul 15;122(9):895-908.

  4. mTOR inhibition by rapamycin increases ceramide synthesis by promoting transforming growth factor-β1/Smad signaling in the skin. Yamane T et al., FEBS Open Bio. 2016 Feb 24;6(4):317-25. doi: 10.1002/2211-5463.12039. eCollection 2016 Apr.

  5. Autophagy inhibits C2-ceramide-mediated cell death by decreasing the reactive oxygen species levels in SH-SY5Y cells. Fan C et al., Neurosci Lett. 2017 Jun 9;651:198-206. doi: 10.1016/j.neulet.2017.03.006. Epub 2017 Mar 10.

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