コルチゾールはストレスを受けると視床下部-下垂体-副腎へと信号が伝達されて副腎皮質から分泌されます。長い間コルチゾールはステロイド剤として傷の炎症を抑えるための抗炎症剤として使用されてきたた歴史があります。では傷や感染などしていない健常な人にコルチゾールを増やすことで抗炎症な体質になるのでしょうか?ストレスの多い人はコルチゾール分泌が増えますが抗炎症/活性酸素を減らすことで長寿になるのでしょうか?謎の多いコルチゾールの寿命に対する影響がどうなるのか興味がわいたので医学論文で調べてみました。
ストレス耐性のある家系ではコルチゾール値が低い
コルチゾールと長寿に関して長寿の家系では日中のコルチゾールレベルが低かった[2]とか高値の日中コルチゾールと見た目の年齢が高齢に見える[1]評価との相関など見た目の老化度と長寿の相関も報告があります。ですので生まれつきストレスに対する耐性が低いとコルチゾール値が高くなり老けて寿命が短くなる傾向があるのではないかと推測されます。
コルチゾールはストレスを感じると炎症レベルを高める
コルチゾールは抗炎症作用と炎症を発生させる作用の両方を持っていることが報告されています[3]。傷など異常な状態では抗炎症作用を発揮しますが健常な人に中程度のコルチゾールを投与すると炎症を惹起し、高用量のコルチゾールを投与すると炎症も抗炎症作用も起こさないと報告されています。
下の図は縦軸が炎症を含む防御機構の活動度で横軸が血中のフリーコルチゾールのレベルです。これを見ると日中のコルチゾール変動ではそこまで炎症を惹起していないがストレスを感じるレベルではコルチゾールがピークをつけるため炎症を引き起こすことを示すグラフです。ピークを付けた後では炎症を惹起しにくくなりますので高用量になるほど炎症が起こらないとわかりますが、日常生活でコルチゾール値が上昇するのはストレスを感じる範囲でしょうからやはりストレスでコルチゾールが出ると炎症ならびに活性酸素が発生するのでしょう。
まとめると、日内変動している副腎皮質ホルモンのコルチゾールは、ストレスを感じると中程度のコルチゾールレベルの上昇が認められ炎症を発生させるためストレスの多いライフスタイルでは見た目の老化や長寿とも関連も示唆されるということです。ちなみにコルチゾールは血糖値を上げるホルモンでもあるため高GIな糖質を食べて食後血糖がジェットコースターのように上下させることでも分泌されます。
参考文献: