老化してくると記憶力が衰えて脳の機能の低下が現れてきます。認知機能が衰え完全にボケてしまうと長生きしても健康長寿とは言えないため脳の機能低下防止は非常に大切です。先日105歳でお亡くなりになった医師の日野原先生のように長寿の高齢者は認知機能もしっかりしてそうだなと思わせ興味を持ったため認知機能(脳)と長寿には相関があるのか調べてみました。
活性酸素レベルの増大は認知機能を低下させる
脳の認知機能の老化は活性酸素やmTOR(エムトール)が関わっていることが知られています[2][3][4]。まず活性酸素は皮膚や男性型脱毛症など細胞の老化にも関わり寿命にも影響する要因ですが、ミトコンドリア内の少量の活性酸素の増加は長寿になり(ミトホルミーシス)、多量の増加や細胞質内の活性酸素の増加は短命になることも報告されています。グルコサミン摂取や糖質制限はこのミトホルミーシスが起こっています。同様に脳の認知機能においても多量の活性酸素は機能を低下させ、微量の活性酸素は逆に脳機能を向上させることも報告されています[4]。
mTORを抑制すると認知機能は向上する
また、mTORは糖質制限など飢餓状態(糖質とタンパク質)で抑制されるタンパク質でオートファジーが起こるため長寿になるという有名な経路です。メトフォルミンは糖尿病の薬ですが現在アメリカで低用量で長寿になるかどうかの大規模な調査を行っている最中です。これもメトフォルミンにもmTORを抑制する作用があるためです。mTORを抑制するには糖質を制限してIGF-1/インスリンを出さないことです。このmTORを抑制することで脳の認知機能を改善することも報告されています[3]。私も糖質制限し始めて気付いたことの一つに集中力と脳がスッキリして仕事やこのブログの執筆活動にも非常に良い影響がでましたので納得できます。
また、ハエを使った実験ではハーブの『カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa) 』を与えたころ、活性酸素レベルを減らし、長寿になるとともに加齢とともに認知機能の低下も抑えられたと報告しています[2]。この報告ではmTOR経路の関与が示されていることからオートファジーの活性化を伴い長寿になったと推測されます。

カンカニクジュヨウ File:Broomrape (Cistanche tubulosa) Negev.jpg Author:Wilson44691
また、長寿の家系を調べたところ認知機能が高齢でも高かったという調査報告もあります[1]。
以上、遺伝要因だけでなく糖質を減らすとか活性酸素レベルを上げすぎないなど長寿になるような生活習慣や環境は認知機能にも良い影響を与えると推測されます。
参考文献: